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【漫画レビュー】火ノ丸相撲 第53番 愚直な道化【週刊少年ジャンプ30号】

■火ノ丸相撲
第53番 愚直な道化

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いよいよ団体戦の決勝戦が幕を明ける。

石神高校と大太刀高校・・・因縁の決戦!

 

その先鋒にたつのが三ツ橋だ。

一方の石高の先鋒は間宮!

 

体格差は倍は違うだろうか。

 

ギャラリーは試合前から三ツ橋の負け確定と見ていた。

これまでの試合結果を見ても、万が一はないと考えているようだ。

 

「数合わせにしたってもう少しマシなのはいなかったのかね」

「オーダーもミスったな。せめて沙田相手に捨て石として使えたら・・・」

「バカ!間宮だって強ぇぞ」

 

好き勝手を言うギャラリー。

 

一方で記者の一人は三ツ橋を度胸があると評価していた。

普通初心者は頭から行くのを怖がるものだが、

三ツ橋は今までの全試合、負けはしたもの全て頭から当たりに行っている。

 

体はないが、真っ向勝負を磨く鬼丸・・・

とまではいかないにしろその姿勢は感じることが出来る。

 

もしかしたら鬼丸への憧れから相撲部に入部したのかもしれない、と記者はいう。

 

 

しかしそれは途轍もなく険しい道だということを、

未熟故にわからないのかもしれない。

 

体重差100kg以上・・・!!

結果は見るよりも明らかだった・・・。

 

 

「・・・実際ダチ高に勝ち目はあるんすかね・・・

 今の石高から3勝するってのは至難の業ですよ。

 石高の布陣には穴がない。なのに一敗は既に確定で・・・

 ダチ高は実質4人で戦ってる様なもんだ・・・」

 

柴木山部屋の若い衆が言うのも無理はなかった。

誰しもがそう思うはずだ。

 

「・・・確かに分が悪いのはダチ高だ。

 この戦いにおける一敗は重い・・・

 ただ・・・三ツ橋君の顔は、その事をわかっていない顏ではない。

 そして送り出した他の部員達も4人で戦っているつもりはなさそうだ・・・」

 

2・3年後じゃダメなんです・・・

 

桐仁は三ツ橋の言葉を思い出していた。

 

『無茶は承知です・・・何でもやります・・・!

 僕が今年のIHで勝てる方法・・・教えて下さい・・・!』

 

 

三ツ橋には相当な無理を強いて来た・・・

でもお前はその言葉通り本当によく付いて来てくれたよ・・・

 

・・・なのに俺は・・・

 

・・・・・・・・

・・・

 

自分より年下に倒される三ツ橋。

それを見つめる桐仁。

 

「・・・実際大したもんだよ。頭から突っ込むそのガッツはさ・・・」

「・・・・・石高に行ってから様子がおかしいですね・・・」

 

「!」

「言いたい事があるなら言って下さい。

 今更何言われても傷付きゃしませんよ」

 

「・・・・・・。

 ・・・お前は本当によくやってるよ・・・

 ただ石高は俺の想定より伸びている・・・時間が足りない・・・

 このままではお前は・・・IH予選には間に合わない・・・」

 

・・・・

・・・・・・・・

 

間宮と三ツ橋の試合は今まさに始まろうとしていた。

 

「手をついて!」

 

間宮は三ツ橋を見て思った。

 

・・・体格差にも怯まず、正面突破に拘り続ける・・・

・・・おそらく鬼丸の影響だろうな。いじらしい事だ・・・

だが・・・ここは全国行きを賭けた戦場なんだぜ。

 

そんな浮ついた気持ちで土俵に上がる奴は

初心者だろうが遠慮はしねぇ。

 

 

間宮は手を地面につけた。

 

監督として・・・三ツ橋には謝らねぇといけねぇ・・・

俺はお前の事・・・何もわかっていなかった・・・

そう・・・お前の"覚悟"を見くびっていた・・・!

 

「はっきよい!!」

 

試合がはじまったその直後。

間宮の視界から三ツ橋は完全に消えた。

 

「消え・・・」

 

立ち合いに相手に集中し、極限まで視野が狭まった瞬間・・・

視界から消える。

 

「!・・・(下!?横!?)」

 

コンマ数秒の反応の遅れが

相撲においては命取り・・・

 

三ツ橋は間宮の横に八艘跳びを決めていた!

 

「と・・・跳んだぁ!?」

 

思い付きで出来る動きじゃない!

明らかに訓練されたもの・・・!

 

これまでの敗戦全てが変化はない・・・出来ないと思わせる為の撒き餌!

 

・・・・・・

・・・

 

「間に合わない?」

「あぁ・・・。以前に比べると体も出来てきている。

 だがどう策を弄しても、強豪相手の圧力を正面から受けるやり方は

 まだお前の体では耐えられない。

 

 『変化』という作戦もある。

 でも・・・火ノ丸に・・・真っ向勝負に憧れているお前に・・・

 俺はそんな事を薦めたくはないんだ。

 

 理想を追う火ノ丸の様に、お前も自分の理想を曲げてまで

 相撲を取る意味は無いだろう・・・

 身長だって伸びるかもしれないしな・・・」

 

「・・・・・。

 ・・・『僕の理想』って何ですか・・・

 ・・・火ノ丸さんは自分の理想の為にどれだけの時間を費やして・・・

 それでも届かなかったのを目の当たりにしたのに

 

 今の僕が軽々しく火ノ丸さんの様な相撲を取って、

 ましてやそれが石高相手の団体戦だとしたら・・・

 ・・・ハイ負けましたなんて・・・言えますか・・・

 

 『この先』なんて知りませんよ・・・

 ただ一つ言えるのは"そこ"には小関部長も五條さんもいないって事だけ・・・

 どう見ても足手まといの僕を火ノ丸さんや小関さんは笑って受け入れてくれた…

 

 五條さんや國崎さんだって・・・その気になれば無理矢理にでも

 僕より強い人を引っ張って来れたはずなのに・・・

 黙って見守っていてくれた・・・

 

 ・・・言ったでしょ・・・2・3年後じゃダメだって・・・

 何でもするって・・・

 

 本当に必要な時にみんなの役に立てるなら

 『憧れ』『理想』『この先』でも何でも

 捨てる覚悟は出来てる!

 

 

・・・

・・・・・・

 

最初からこの『変化』を使っていれば

決勝までに何勝かは上げられたかもしれない。

 

だがお前が欲しいのはそんな勝利じゃない。

 

『目先の勝利』さえも捨てて玉砕を続けたのは・・・

お前の体格ではどうしても相手の頭によぎる『変化』に対し、

愚直な道化を演じる事で、その警戒を解く為!

 

ここ一番での成功率を上げる為!

そう全ては・・・石高に勝つ為に!!

 

間宮の背後を取る三ツ橋!

 

相撲において背後を取られるという事は

"し"を意味する!

 

捨てられるものは全て捨てた・・・

火ノ丸みたいになりたくて相撲部に入った・・・

 

その思いさえも全て・・・

ここに来るまで心無い言葉も浴びて来た・・・

この勝利に釣り合うだけのものをお前は

賭けて来た!!

 

「三ツ橋!!勝てぇ!!」