■ブラッククローバー
ページ32 闇の奥で待つ者
ラデスはこの時のために、自分の魔法を研究し、磨き上げ、準備に準備を重ねてきた。
それこそ何年も何年も前からだ。
全ては今日この時の為に・・・！
しかし、そんな計画を一瞬にして台無しにされた・・・！
なのに何でだよ・・・！！！
そして一方ではレオとノエルが苦手属性相手に無事勝利を収めた！
敵のマナの隙をついて大火力で蒸発させたのか・・・
さすがはフエゴレオンの弟というところか！
「・・・バカな・・・バカな・・・
オレの魔力は王族にも劣ってねぇんだ！！オレは・・・」
炎拘束魔法"火炎獅子の掌(レオ・パルマ)"！！
拘束されるラデス。
フエゴレオンはラデスの魔導書を奪い、中身を見た。
やけに嫌がるラデスだったが、その理由はすぐにわかった。
ページが１枚だけ・・・あとは全て白紙の魔導書・・・
「見るな・・・！！見るんじゃねぇぇぇぇぇ！！！」
たった一つの魔法しか使えないという事実・・・。
「返せぇーーー！！・・・オレを・・・蔑んだ目で見るんじゃねぇぇぇぇ！！！」
「・・・誰がそんな目で見るかよ・・・！」
アスタがフラつきながらラデスに近付く。
「・・・違うやり方で・・・認めさせられなかったのかよ・・・
そんなすげぇ魔力があるのに・・・そんな這い上がって来る力があるのに・・・
もったいねぇ・・・・・・！！」
「・・・・・・・・」
「逆境をも越えられるオマエに足りなかった物・・・それは正しき心だ・・・！
罪を償え・・・！」
その時だった！
『もう・・・気が済んだだろう』
何者かがラデスの耳元で囁く。
姿はなく、何か玉のようなものがラデスの耳の中で囁く。
空間転移魔法の使い手なのか？
団長に勝てない事を悟ってか、ラデスの勝手な行動を終わりにして、
予定通りの行動に移させてもらうという。
あの方の為に・・・
一体あの方とは！？この一件の黒幕は他にいるのか。
ユノと戦った魔女・キャサリン、
屍使いのラデスに空間転移の使い手・・・そして、この３人のボス。
一体何者なのか・・・。
一方アスタはラデスに囁く声を感じてはいたが、その内容については
わからなかったようだ。
フエゴレオンはラデスに目的を聞き出す。
「ククク・・・本当の狙いはなぁ・・・
アンタだよ・・・！！フエゴレオン・ヴァーミリオン」
「何・・・！？」
何者かが魔導書をめくる音！
その瞬間、フエゴレオンの足元に闇が！
空間魔法に飲み込まれるフエゴレオン！！
しかし、フエゴレオンは慌てない！
いいだろう。虎穴に入らずんば・・・だ！
完全に姿を消すフエゴレオン！
・・・・・
・・・
フエゴレオンが飛ばされた先・・・そこは何も無い空間。
ただ、光の玉のようなものが３つ浮いている。
「何だ・・・ここは・・・・！？」
ザッ・・・
「！」
足音に振り返るフエゴレオン。
「オマエは・・・！！」
驚愕の表情・・・身内・・・なのか？
・・・
・・・・・・
「貴様ァァアアア！！！兄上をどこへやったァーー！！」
「ハハハッハハハハハハハハハ！！」
「何が可笑しい！？」
高笑いを続けるラデス！
「レオ！！そいつは空間魔法の使い手じゃないわ！」
今のピンポイントな空間魔法・・・術者が近くにいないと到底出来ないはず・・・！
一体どこに・・・！？
ノエルが辺りを見渡す中、アスタが駆け出した！
「そこだァァーーーー！！！」
と、屍の山に向かって剣をなぎ払うアスタ！！
どうやら当たりだったようだ！
吹き飛ばされた屍の一体が空間に身を隠したかと思うと、
すぐにアスタの正面の建物のてっぺんに姿をあらわした。
「よく見破ったな。魔法で化ければ魔力で気付かれると思い、
わざわざ小汚い恰好に変装したというのに・・・獣のようなヤツだな・・・」
男は屍のマスクを外した。
素顔も相当恐い男だ・・・！
「だがもう・・・終わったようだ・・・」
アスタの前に開かれる空間の歪。
「・・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・」
そこから落ちてきたのは片腕を無くし絶命したフエゴレオンの変わり果てた姿だった！！
「兄上ええええええええええええええええええええ！！！！」
「うあぁぁあああああああああああ！！！！」
絶叫するレオとアスタ！！
一体だれが・・・！？
急に留守にした魔法帝が犯人なのか・・・？
だけど、フエゴレオンが"オマエ"という相手だよね・・・魔法帝には言わないか・・・。
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